ブラックな職場はいかにして生まれるのか?「あなた」は今後どうするか?
あなたの勤める介護施設は良い会社、または職場でしょうか?
おそらく、自信を持って「Yes」と応えられる人の方が少ないと思います。
ただでさえ、介護の仕事はネガティブなイメージが強いのに、その上、職場の質まで悪いとなると友人や知人に介護の仕事を紹介することができません。
少子化が進んでいく中、人員の補充にあまり期待しすぎるのも良くはありませんが、せめてシフトワークが正常に働くレベルの仲間が欲しいというのが本音です。
そこで、自分の施設がなぜブラックな職場となってしまったのか、または、自分がそういった環境から抜け出すための考え方をお話していきます。
ぜひ、自分のストレスの原因をうやむやにするのではなく、ブラックになりえる要因に目を向ける機会を作って頂ければと思います。
それでは、お付き合い下さいませ。
【目次】
ブラックな職場になりえる要因。
あなたの、または世間で騒がれるブラックな職場はどのようにして生まれるのか、その要因を探っていきましょう。
あくまで、現場職員の1意見ですが、同じく現場で奮闘している職員の方には「確かに、それはあるよね、わかるわかる」と共感して頂ける部分はあるかと思います。
もしくは、「それは気づかなかった、考えもしなかった」という感想を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方は、ネガティブなことに目を向けることは辛いことですが、今後は視野を広げて職場に従事していった方が良いと思います。
それでは、ブラックな職場が生まれる要因を3つ挙げていきます。
職員の沈黙
まずは、『職員の沈黙』です。
ブラックな職場が生まれることを良いことだとは思いませんが、大前提として、完璧な会社など存在しません。
何が言いたいかというと、どの会社組織にも欠点は存在するということです。
所詮は、人間という不完全な生き物で作り上げられた集団であるため、100%問題のない会社なんてのは存在しないはずです。
しかし、そんな中でも企業や職場の質の良さに差ができてしまうのは、問題点を表に出さずそのまま放置してしまうことによって起きてしまうのが1つの要因かと思います。
例えば、サービス残業や休憩時間がまともにとれていないことなど、受けて当然なはずの待遇すらも成立していない職場が多くあるようですが、それに対して異議を唱えられる人は多くありません。
「自分1人が声をあげたってどうせ変わらない」「みんながやってるから合わせるしかない」という思考に陥り、いずれ問題となる行為が当たり前化していきます。
これが、いわゆる『職員の沈黙』です。
人間は(特に日本人は)、周りからの自分に対する評価や印象をよく気にしています。
「これはおかしいだろ」と思っていてもなかなか声を出せないものです。
では、そういった職場を管理する役割にある人は誰なのでしょう?
悪い流れを止めることができうる人は誰なのでしょう?
経営者のはずです。
経営者の無知か悪意か
ハッキリ言って、職場の質は経営者や施設長、管理者次第なところがあります。
何も、介護現場には全く問題がなく、上司やお偉いさん方にだけ問題があるとは言いませんが、現場を変えることができる力を持っているのが上層部の人間だということです。
しかし、職場の問題点は一向に解決される兆しが見えません。
むしろ、「うちの会社の上層部は、現場の改善に全く興味がない」と不信感を抱く職員もいるくらいです。
それはなぜかというと、2つ目の要因になりえる『経営者の無知か悪意か』によるものです。
職場の質の向上や現場の改善に全く興味を示していないように見えますが、その原因は2種類に別れると思います。
「どうすれば改善されるかがわからない」あるいは「現場の状態に理解が足りない」という『無知』か、わかっているけど改善しようとしない『悪意』かのどちらかです。
もちろん、上司たちは必死になって現場のことを考え改善を試みているものの、的外れすぎて現場職員が気づいていないだけというケースも考えられますが、そうだとしても『無知』の部類に入ります。
何にせよ、職場に変化をもたらすには、ある程度の地位や権力が必要です。
放置しておいても、現場が勝手に変わっていくものではありません。
もし、現場の中に職場を変えうる能力を持つ人材がいたとしたら、その人はすでにある問題解決より自分で独立して起業する方に魅力を感じるでしょう。
つまり、職場を良くしたいのであれば、今まで事務所で座って回覧物に印鑑を押すだけで高い給料をもらっていた人間が、重たい腰を上げて現場に良い影響を与える試みが必要なのです。
しかし、中にはこんなケースもあるでしょう。
「うちの上司は人が良いんだけど、なんか的外れなんだよなぁ」
「うちの会社はワークライフバランスの充実を図って働きやすいはずなのに、なぜか職場の質は良くなっていかないなぁ」
職場に変化をもたらす役割や権力を持つ存在は、会社の上層部の人間であると言いましたが、変えられないものもあるかもしれません。
それは、群れに深く根付いた風習や思考です。
集団的思考
職場のブラックな要素が解決されないことは、経営者や管理者、上司に責任があると言いましたが、
既に粗悪な雰囲気が漂う環境で急に管理職につくことになり、自分の思想とはかけ離れた風習の職場に苦しむ人もいます。
どう頑張っても、権力のある地位や役職についても、一個人では変えられないものがあるのです。
それが、『集団的思考』です。
先ほど話した『職員の沈黙』でも言いましたが、人間は「みんながやってるから合わせる」という行動の選択肢をとることが多いです。
心の中では「間違ってる」と思っていても、逸脱した言動を控え、とりあえず周囲に合わせるのが人間です。
これが職場の質が向上していかない原因にもつながります。
自分は「こうするべきだ」と思っていても、集団から批判されることを恐れて、正しいと思っていることができずに楽をする方(怠惰)へと流れていってしまうのです。
この悪循環が職場の質の低下につながっていくのだと思います。
人の行いには3種類あると言われていて、それを説明するのに、面白い例がありますので紹介させて頂きます。
あなたは運転するとき、速度制限を四六時中守っているだろうか? 守らないときがあるとしたら、それはなぜか? その答えは、道徳にまつわる古い冗談のようなものだ。つまり、行いには「良いこと」「悪いこと」「皆がやっていること」の三つがあるからだ。誰かがズルをしても咎められないのを見れば、大丈夫なんだと思う。自分だけが規則を守ってばかを見たくないのだ。残酷すぎる成功法則
「あなた」がどうするのかを考えよう。
ブラックな職場が生まれる原因は、『職員の沈黙』により問題点が浮き彫りにならず、変化させる権力と役割を持つ上層部は問題に気づかないか気づいていても改善の方法がわからない『無知』か努力を怠る『悪意』か、もしくは、会社の中で少数の人間が熱意を持ったとしてもすでに手遅れなほどに悪化してしまった風習や『集団的思考』が作り上げられてしまっているか。
このような状態に陥った職場で、「あなた」は何を選択していくのか真剣に考えましょう。
間違っても、「みんな」に合わせる必要はないですし、世間が正しいとする答えには辿り着かないようにすることです。
何も、「ブラックな職場なんて辞めてしまえ」とか「一人だけ逸脱した行動をとれ」などというアドバイスをするつもりはありません。
辛い状況の中でも、周囲にいる仲間と協力し合っていこうと思えるのであれば、それも立派な決断です。
しかし、自分の考えを受け入れてもらえなかったり、自分の思いとは違った行動ばかりを求められるのであれば、それは考えどころです。
これを表すのに、またもや良い例があるため、紹介させて頂きます。
「仕事を選ぶときには、一緒に働くことになる人びとをよく見ることですね。というのは、あなたが彼らのようになる可能性が高いからで、その逆はない。あなたが彼らを変えることはできないのです。何となく自分と合わないと思うなら、その仕事はうまくいきません。」byスタンフォード大学ビジネススクール ボブ・サットン
最後に少し余談をはさみますが、英語に「occupation(職業)」という言葉があります。
この単語の由来は、「人生の大部分を占める(occupy)もの」とされています。
何が言いたいかというと、人は人生を幸せなものにするためにプライベートの充実を図ろうとしますが、ライフを充実させるためにはワークを充実させてバランスをとらなくてはなりません。
生活(ライフ)を充実させたいのに仕事(ワーク)が邪魔をしてくるという思考形態にあるか、辛い仕事(ワーク)の息抜きのために生活(ライフ)を楽しいものにしたいという価値観の人が多いように感じますが、
本当にワークライフバランスを充実させたいのであれば、自分の職業に対しても、ライフと同じかそれ以上に本気で考えなくてはなりません。
ブラックな職場で不幸だとか、「みんな」がやっていることだからとか、思考停止に陥るのではなく、「あなた」がどうしたいかを考えていきましょう。
という提案でした。
閲覧ありがとうございました。