放っておくと間違った方向へ進んでしまうチームを正しく導く介護リーダーの仕事。
こんにちは。介護福祉士のTAKUMIです。
介護という仕事は、生活に困り助けが必要なご高齢者を支援するのが使命です。
しかし実際の介護現場は、利用者以上に愚痴の多い職員が存在したり、ましてや改善しようという代替案もないことが大半です。
「~すべきじゃないのか」とチームリーダーや熱い心を持った職員が口を開いてもなかなか聴いてもらえない...
そして、問題となってくるのが、志の高い人が黙ったままでいると、そのチームは(悪い意味で)楽な方へと進んでいってしまい、それが当たり前のように定着してしまうのです。
自立支援が面倒で必要以上に介助を行ってしまい、身体・脳機能の低下...
ご高齢者に対する失礼な発言が当たり前になって、スピーチロックに...
職員が過ちを犯す前に、リーダーの存在となる人が止めなくてはなりません。
しかし、言うことを聴いてくれないがために、「こいつらは何言っても変わらん」と諦めてしまいがちです。
当たり前な話ですが、チームのメンバーが違う方向を向いていれば、現場に統一性はなくなってしまいます。
統一性がなくなると、ケアの質に変動が生まれ、利用者様は混乱してしまわれます。
そのような状況の中、どんなに方向性や価値観が違う職員にも、1つだけ共通するものがあります。
今回は、その共通点を利用して、介護リーダーの仕事としてやるべきことは何かを考えていきたいと思います。
お付き合い下さいませ。
【目次】
どんなに方向性が違っても、◯◯は同じ。
チームの中の職員たちがそれぞれ違う価値観を持っていたり、関係性が成り立っていないがために全く別の方向を向いていたとしても、必ず◯◯は同じという共通点を持っています。
その◯◯とは何かというと、欲求です。
もっとわかりやすくいうなら、悩みや願望と表現した方が良いでしょうか。
例えば、業務をさぼって他人に任せっきりにして楽をしている人を許せない気持ちになるのはなぜでしょうか?
仕事中にスマホを触り、好きなおやつばかり食べている人を説教したくなるのはなぜでしょうか?
それは、自分も同じように楽したい・好きなことをしたいからです。
「いや、普通に考えてダメなことをしている人を注意するのは、正義感からの行いだよ」という反論もあるかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか?
その人が規則違反をしているからといって、注意する必要があるのでしょうか?
直接的に攻撃してきたり、例えば利用者様に被害を与えていたら、直さなくてはいけませんが、そうではない間接的に「あの人は許せない」という感情は、そう思っている側の心の状態にあると思います。
もちろん、仕事をさぼる人は褒められたものでもなく、相応の措置をとらなくてはいけまん。(給料下げるとか)
ここで言いたいのは、仕事をさぼる人に対していら立つ感情の根本は、「自分勝手にしてうらやましい」です。
誰しも、自分勝手に好き放題やって楽して金を稼ぐことができるのなら、その道を選ぶはずです。
その”欲求”がみんな同じであるということです。
「あんな人と自分が同じと言われるなんて」と認めたくはないかもしれませんが、的外れな見解ではないと思っています。
意識が高く、ご高齢者の支援やチームの業務進捗度に貢献する頑張り屋さんだって同じです。
まさか、「ご高齢者やチームメンバーのために、私は肉体に鞭打つのが好きなの」といって動きまくる人はいないかと思います。
心の中では、「自分が頑張っている分、周りも動いてくれたら楽できるのに」「感情を抑え理性を働かせているのに、あの人は自分勝手でうらやましい」と思っているかもしれません。
つまり、人間の醜く見られがちな欲求は誰しも共通しているはずなのです。みんな好き勝手にも楽して生きていきたいのです。
かといって、「人間は誰しも楽したいよね、わかるよわかるよ」と、仕事をさぼったり、間違った方向に進むチームメンバーを放ってはおけません。
特に介護現場はチームプレイが肝心な職場であるため、1人でも周囲のモチベーションを下げる人が存在すれば困ります。
そういう人たちを正しく導くために、介護リーダーとしてやるべきことをこれからお話しましょう。
傾聴と質問でニーズを暴く
まずは傾聴の段階。
介護現場は女性の割合が多い職場です。......よく噂話や陰口、愚痴なんかを耳にはしませんか?(もちろん男性が口にすることも大いにあります)
それをよく聴いておきましょう。
「この人たちが今何に悩みを抱いているか?不満を感じるポイントはどこか?」の情報収集をしておくのです。
特に業務や介助、利用者対応に関しての愚痴が聞こえてきたら、しっかりと受信しておきましょう。
何度も言いますが、その愚痴り合いを放っておけば、その人たちは悪い方に染まり、質の低い仕事ぶりが定着してしまいます。
ただ聴くだけで終わってしまえば、悪い方に自分が仲間入りしてしまいます。
続いて質問の段階。
傾聴の段階で得た職員たちの欲求、悩みや不満を受信したら、できるだけそのことについての質問をするようにしましょう。
具体的に言えば、「◯◯さんのおむつ交換の時、最近介助拒否が強くて暴力的ですよねー」などのように、わざとネガティブな情報に触れるのです。
すると、強い不満を感じている職員ほど敏感に反応し、「そうだよね!私も辛いと思ってた!」と欲求をむき出しにしてくれることもあります。
欲求をむき出しにしニーズを暴くことができたら、後は可能性の提示です。
「そう、僕もずっと辛いと思ってたんだ。だからこの前、手に人形を持ってもらいながら介助したらうまくいったよ!」と言ってあげることで真似したくなるかもしれません。
もし、介助で困っていることがあって、それを放置してしまえば、工夫や努力することをやめて、とても乱雑な介助になってしまったり、ひどいと虐待してしまいかねません。
かといって、「もっと上手にやれよ」という注意をされれば、その人は自分の介助技術に自信を持てなくなります。
だからこそ、「自分も同じことで悩んでいる」という姿勢でニーズを見出し、「~することで乗り越えることができた」と具体的な可能性の提示をすると効果的だと思います。
『みんな』の威力
集団組織において『みんな』という言葉は強力です。
介護現場に限られたことではありませんが、『みんな』がやっていることは正しいという風潮が必ずあります。
どんなに間違ったことや効率の悪いことをしていたとしても、その集団が行っていれば間違っていないと思い込んでしまうのです。
例えば、介護施設に外から就職した人の指摘がとても鋭い場面をよく見かけます。
「なんでこんなことに今まで気づかなかったんだろう?」といった内容で、不甲斐なく恥ずかしい気持ちにさえなります。
なぜ、簡単な改善点に気づけなかったのかというと、今まで”みんな”が黙ってやってきていたから、正しい行いだと判断してしまっていたのです。
人間は変化に弱い生き物のため、『”みんな”がやっていること』から外れたことはやりにくいのです。
そのくせ、上司や周囲の人間に良い変化を求めて愚痴ってばかりの人が多いから厄介です。
ここで言いたいのは、『みんな』は今やっていることに疑問を抱えず変化を恐れるくせに、欲求として良い変化を求めるという矛盾があることです。
そして、「普通に考えたら~~だろ」の”普通”は、あなたにとっての普通であると言われることがあると思います。
個人のアイデアより集団規範の方が尊重されてしまう典型例だと思います。
では、結果として良い変化を生み出すにはどうすればいいのかというと、その『”みんな”の威力』を利用すればいいのです。
具体的手法は先ほど紹介したように、傾聴と質問でニーズを暴き、可能性を提示してあげるのですが、これを会議などの場で行うのです。
「みなさん、最近、◯◯さんの介助・業務の◯◯でとても負担を感じているという声をよく耳にします。僕も同じことを思っていました。どうすれば改善されるでしょうか?」と欲求を引き出す議案を挙げて、それぞれの意見を引き出します。
そこで、解決策として一番質の良いものを選ぶか、意見を統合して言い換えてしまいましょう。
「では、~~という対策事項で1か月様子を見ましょう」と決定してしまうのです。
これがどのような効果を発揮するかというと、『”みんな”で決めたこと』だから、外れたことをやりにくくなるのです。
そして、『”みんな”がやっていること』として定着してくれれば、質の高い仕事が維持されるメリットもあります。
これが、『みんな』の威力です。
おわりに
いかがだったでしょうか。
放っておくと間違った方向へ進んでしまうチームを正しく導く介護リーダーの仕事でした。
利用者以上に愚痴の多い職員や間違いに気づかず非行に走る職員に振り回されないために、参考になれば幸いです。
”みんな”が頭を使わずに愚痴ばかりこぼし、変化を恐れヘラヘラとしている中、疑問を感じてストレスを溜めているあなたは、現場(集団)を動かす能力ある人です。
志が高いが故に心身を疲弊させるのではなく、工夫次第で仕事の質を上げて理想に近づき、最終的に利用者様を正しく支援できるのだと感じて頂けたらなと思います。
閲覧ありがとうございました。