介護業界に必要なイノベーションはこれだ!の巻。
何かと問題ばかりある介護現場。
「給料低い」「休みがない」「人手不足」...
「いつまでこんなことをしなくちゃいけないのか」と思い悩む人は多いでしょう。(私を含め)
できれば、YouTuberのように、自分の「やりたいこと」でお金を稼ぎ、自由な人生を手に入れたいというのが多くの人の願いかと思います。(私を含め)
そこで、最近、今いる場所で突き抜けろ!――強みに気づいて自由に働く4つのルールという本を読みました。
この本の帯に書いてあるのですが、
「結局あなたが好きなことで生きていくためには、今いる場所で突き抜けるしかないのだ。「やりたいこと」なんて幻想だ!」
とのことです。
私たちがうらやむ「やりたいこと」で生きていくのは、幻想だと断言されてしまっています。(笑)
それでは、不自由の多い介護職が、今より自由な人生、またはやりがいのある仕事人生を手に入れるためには、何が必要なのでしょうか?
そんなお話を、今回はしていきたいと思います。
お付き合い下さいませ。
【目次】
ただ業務をこなすだけの介護士は、何も変わらない。
「ただ業務をこなすだけの介護士は、何も変わらない」というのは、少し棘のある発言ですが、嘘ではありません。
それは同じく介護現場で働く方ならわかって頂けるかと思います。
介護現場で出世しても、大して給料が上がらない割に業務や責任の量が増える一方だからです。
私も過去に主任に近い立場として従事したことがありますし、現在の主任の方を見ていても常々感じることがあります。
「雀の涙ほどの手当だったら、現場で利用者との関わりが多い下っ端の方が良い」と。(もちろん、会社や人によって、手当の額や感じ方は変わりますが)
本当に、主任やケアマネをされている方は凄いなと思います。
が、正直なところ、そこを目指したいとは思わない現場職員は多いのです。
それでは、これからを生きる上で、介護士はどこを目指せばいいのでしょうか?
今いる場所で突き抜けろ!で学んだことを元に、お話していきたいと思います。
あなたは、あなたにいくら払う?
あなたは、自分自身のような介護士がいたとして、その人にいくら払いますか?
というのも、介護士は「低賃金重労働」ということに愚痴を言う時間を多く費やしますが、実際、給料は見合っていないのでしょうか?
確かに、介護は困難で価値ある仕事です。
しかし、あなたのこなしているその業務は、あなたじゃなくてもできることではないでしょうか?
この考えに至った時、私は、「自分って、人からお金をもらえるほど価値のある人間なんだろうか」思い悩んでしまいました。
低賃金重労働とは言うけれど、「自分は今以上のお金をもらえるほどの価値があるわけではないな」というのが私の中の悲しい結論でした。
このような思考過程を、今いる場所で突き抜けろ!の著者のカル・ニューポートさんは、『対価の法則』という言葉を用いて説明されています。
人があなたの提供するサービスに対価を支払うかどうか、自問してみる。支払うなら実行し、支払わなければあきらめる。
もし、「こんな会社やってられるか!YouTuberになって大儲けしてやる!」と思っていたとしても、視聴者が集まらなければお金は稼げません。(当たり前なことですが)
「世の中のブームに乗って、起業してやる!」という人も、「これからやろうとしていることに、人々はいくらお金を払ってくれるだろうか?」と自問してから行動するべきです。
私は、この『対価の法則』を軸にして、「自分は自分という存在にいくら払うだろうか?」と自問してみました。
それが、先ほどの悲しい結論に至ったまでです。
介護は困難で価値ある仕事ですが、やっている業務のほとんどが誰でもできるのは事実です。
人に夢を見させるYouTuberやアーティストの方々や、人体の手術を行えるお医者さん、注射をさすことができる看護師さんも、我々介護士にはない専門性を持っておられます。
介護士にも専門性があるかといえばあると思いますが、目に見えてお金を支払うほどのことではないのでしょう。
それでは、何をすれば、お金を払ってもらえるほどの価値を生み出せるのでしょうか?
考え方を根本的に変える必要がある。~2つのマインド。
自由な人生を目指したり、やりがいのある仕事をするために何らかのイノベーションを起こそうと思った時、今まで会社勤めでやってきたその考え方を根本から変える必要があるかもしれません。
ここでも、今いる場所で突き抜けろ!で紹介されていたお言葉をお借りしますが、人には、仕事に対する考え方が2種類あるとされています。
『職人マインド』と『願望マインド』です。
『職人マインド』とは、自分がその仕事を通じて、世界にどんな価値を与えらえるかを重視する考え方です。
『願望マインド』とは、その仕事が、自分にどんな価値を与えてくれるかを重視する考え方です。
与えられる価値の方向性が反対になっているだけですが、これには大きな違いがあります。
介護士で例えるなら、『職人マインド』の人は、「僕は介護という仕事をすることで、ご高齢者を幸せにする!」
または、「家族の介護で困っている人たちを助ける!」というモチベーションに至る人がいるかもしれません。
『職人マインド』の人がネガティブになっても、「本当はこうした方が良いと思うのに、、介護業界は間違っている!」というように、それが正しいかどうかは別として、物事の本質からブレようとはしないと思います。
『願望マインド』の介護職の人はどういう人か考えてみましょう。
おそらく、「こんなに頑張っているのに、給料が低い」という人が典型的な例でしょう。
まさに、その仕事が自分に何を与えてくれるのかにしか目が向いておりません。
『願望マインド』の人がポジティブになっても、「まぁ、うちの会社はそんなに業務多くないし、ここでいいや」となるくらいだと思います。(ちょっと失礼な表現ですが、わかりやすくするため)
ここまでで、『職人マインド』と『願望マインド』の考え方の違いを比較しましたが、文脈から見ても、どちらの考え方の方が、仕事に価値とやりがいを見出してそれを増大させられるのかは一目瞭然でしょう。
本当に価値のある仕事をこなし、自由な人生を目指して『対価の法則』に従った時、人々がお金を払ってくれるのは、『職人マインド』の人です。
今こそ、介護×◯◯が必要。
私は、個人的に、介護現場に介護士しかいないのは問題だと思っています。
というより、ご高齢者の生活の中に介護に必要なものしかないのは、1つの問題として検討してもいいのではないかと思っています。
どういうことかというと、介護現場は人手不足で必要最低限のものや人材しか揃えられないということが、みんな当たり前のように考えていることだと思いますが、
その当たり前から抜け出さないことには、いつまで経っても変化は訪れません。
例えば、私たち職員側の人間でも、毎日会社に通って給料をもらい、その稼いだお金で生きるために必要なものを買い揃え、食事や排泄、睡眠をしっかりととっていれば生きていけるのは当たり前とされていることです。
しかし、その間には、スマホでYouTubeを見たり、カラオケで騒いだり、ボールを転がしてピンを倒す人も中にはいることでしょう。
ハッキリ言って、これらは生命の維持という点では、無駄なことです。
しかし、「ストレスの発散だよ」と生きるために必要なものだと錯覚(?)して、わざわざそれらのサービスにお金を支払います。
これと同じように、介護現場にも、利用者が生活するために必要なもの以上のサービスの提供をすることで、新たなニーズが生まれる可能性があります。
わざわざ、利用者が混乱するほどの変化をつける必要はありませんが、一見必要そうには思えないことでも、利用者にとって価値のある、または興味を持つことに力を注いでもいいのではないでしょうか?
「音楽療法」といって、歌手の方をお招きする施設もありますし、「保険外サービス」で外出支援専門員(旅行の付き添い)なんかを仕事にしている人もいるようです。
そういった、付加価値の方に力を入れていきましょう。
なぜなら、介護は、他に比べて特別なスキルや才能が必要というわけではない上、今以上に進化していくかと言われれば自信が持てない分野だからです。
そのため、今こそ、介護×◯◯が必要なのです。
そこで、前置きが長くなりましたが、介護士が+αのスキルを身につけるために重要となる概念を、今いる場所で突き抜けろ!からご紹介します。
(あまり引用しすぎて怒られると嫌なので、これで最後)
この本では、『キャリア資本』がないと、素晴らしい仕事はできないと言われています。
『キャリア資本』とは、自分の分野で「希少で価値のあるスキル」のことだそうです。
つまり、「今いる場所で突き抜けろ!」というのは、「ないものねだりなんかしてないで、その場で努力しろ!」とも言い換えられると思います。
この本では、そんな「希少で価値のあるスキル」を身につけるための方法なども紹介されているのですが、ここでは割愛させて頂きます。
先ほど話した、介護×◯◯を実現させるためには、介護士に+αのスキル、つまり『キャリア資本』が重要ということは説明するまでもないことでしょう。
介護職がよく言われる「誰でもできる仕事」から「自分にしかできない仕事」を作っていく必要があるのです。
ちなみに、『キャリア資本』にならない仕事には、3つの要素があると言われています。
「キャリア資本」にならない3つの仕事
1、希少で価値のあるスキルを磨くことで他人との差別化が図れる機会が、ほとんどない仕事
2、役に立たない、もしくは世界に悪影響をもたらすとあなたが思う仕事
3、ものすごく嫌いな人たちと一緒にせざるを得ないような仕事
1の要素は、「誰でもできる」と言われる介護士が、まさに当てはまっていることではないでしょうか?
解決策としては、今回話した通り、「自分にしかできない仕事」がこなせるようになるために、希少で価値のあるスキルを磨く必要があります。
そして、2と3の要素についてですが、
もし、あなたが、業務の非効率性、疑問や不満ばかりの仕事をさせられ、それも価値観や意見が違いすぎる人たちと働いているとしたら、『キャリア資本』につながる仕事としてどれもアウトです。
1については今回話した通り、2については本当に相手のためになるケアを、3についてはせめて職員同士の人間関係くらいは良くしておきましょう。
おわりに。~国や会社に依存したら終わるかもしれない。
いかがだったでしょうか?
介護業界に必要なイノベーションはこれだ!の巻。でした。
自由でやりがいのある仕事のためには、『キャリア資本(希少で価値のあるスキル)』が必要であることはわかって頂けたかと思います。
そして、その『キャリア資本』にならない3つの要素を、介護職は満たしがちです。
相手にとって必要なケアやサービスを充実させることも大切ですが、それは当たり前の日常を提供するだけのことだったりします。
そこで、現場を知る介護士個人が+αのスキルを身につけて、介護×◯◯の実現を目指してみてはいかがでしょうか?
国や会社が作った制度の中で生きるということは、文字通り、比喩的な意味でも、誰かの考えで作られた箱の中で生きることになります。
それが、国や会社に依存したら終わるかもしれない。の所以です。
そして問題なのが、それをしてきた介護施設の経営者の方々の中には、介護現場の実際を知らない人たちがいることです。(もちろんそうではない人もいて下さる)
実際に、そういう環境で仕事してきた人なら共感して頂けると思いますが、介護のかの字も知らない経営者の作った介護現場は悲惨です。
高齢者が多いために需要はありましたが、とても儲かるビジネスというわけではないようですし、低賃金の中経費削減に力を入れさせられる割に無駄な会議で人件費を使い、崇高な理念を立てるも現場でのトラブルは現場任せです。
経営者は、現場の仕事を誰かに任せてお金を払い、責任を持つのが仕事と言われますが、それにしても介護の仕事への意識が低すぎます。
ある程度経験を積んだ現場職員が、または職員たちが一丸となって、「利用者さんのために~~ということをするべきだと思います!」と声を上げても、特に理由も述べず独断で「NO」と言われたり、「他の施設ではそんなことしないよ」と言い訳されたり、
このように、何も考えていない、あるいは考えることができない会社は多いと思います。
コロナウイルスの件でも、国の判断や決断力に不信感を抱く人は多いでしょう。
そんな存在たちに依存していては、我々の将来と利用者の老後人生が危ういです。
最後の最後で、介護業界にイノベーションが必要だと思う理由を、わかりやすい例(個人的な愚痴)としてお話してしまいました。
これも全部、「人」のためです。
認知症高齢者の方であっても、介護職員であっても、「人」です。
「人」のためにある仕事の介護職が、現状のような辛い状況を続けていてはいけません。
このままでは、人手不足は加速して職員の負担は増え、利用者は受けるべきケアを受けることができず、給料も低賃金なままです。
何も考えていない人を頼りにしたり言い訳にしたりするのではなく、「自分にしかできないこと」を見つけるための努力をしていきましょう。
これは、ほとんど自分への言い聞かせでもあります。
介護業界は変わるべきです。
そのために私は、自分の心を入れかえ、人として、ご高齢者の老後人生を幸せにするためには何が必要かを考えるために、心理学を勉強しています。
まずは、人間の心を理解するというアプローチをとったわけですが、まだまだこれからです。
ご高齢者や介護職員という「人」が、幸せになるために必要なことは何なのか、介護業界の変化すべきことは何なのか、学んだ知識や気付いたアイデアを元に、これから発信していこうかと思います。
同じく介護現場で奮闘する介護士の方々が、お付き合い下さったら幸いです。
閲覧ありがとうございました。