介護学×心理学ブログ

低賃金、人手不足、3K、何かと問題ばかり抱える介護業界。なぜ、介護の分野は成長していかないのか?それは専門性が低いからであり、あったとしても感情的・根性論が多いのが現状。介護の専門性とは何か?どうすれば向上していくのか?介護の本質を知らない、あるいは興味がない経営者に代わって、論理的に解説するブログ。

大層な理念を立てる前に、やるべきことない?~介護施設の上司になったらやるべきこと3選。

 

 介護施設の上司になると、やるべきことがあります。

 

人手不足の中、現場の仕事を手伝ったり、毎月の勤務シフトを組んだり、その他の自分の仕事だって抱えておられるかと思います。

もちろん、チームが同じ方向を向くためにも、理念を立てて共有するという役割を持つことも大事かもしれません。

 

しかし、もっと根本的な課題を解決することで、大きく改善されることがあると思います。

 

 私も同じく主任という立場です。

だからこそ、見えてくるものはあり、重要だと思う仕事です。

 

今回は、何が本当に介護現場のためになる行動なのかを提案してみたいと思います。

 

 【目次】

 

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介護施設の上司がするべきこと3選

 

 介護施設の上司とは、主任や管理者など現場に近い立場の方を対象にしてお話していきます。

 

施設経営者には、現場に入ることを要求するのも酷な話なので、現場を作る立場の人間を支えることができていればいいと思います。

 

それができておらず、主任や管理者は心身共に疲弊していくが多いのですが...

 

 

業務内容の見直し

 

 まずは、介護現場の業務内容を見直しましょう

 

職員数に対して、業務量は適量でしょうか?

業務が勤務時間内に終わり、出退勤や休憩時間は守られているでしょうか?

 

 どこの組織にも言えることかと思うのですが、『人手不足』という状態に陥り、人員が減っているにも関わらず、業務量は以前と変わらないままのことが多いです。

 

人間は良い変化が起きることを望む割に、自分たちが変化することに嫌悪感を抱いてしまう生き物です。

そして、業務量を減らす、いわゆる「楽をする」ことに罪悪感さえ感じてしまっているかもしれません。

 

普通に考えて、仕事をこなす人数が減っているのに対し、仕事量に変化がないのはおかしいです。

10個の仕事を10人でやっていたにも関わらず、7人に減っても10個をこなそうとしては、一人当たりの負担が増えて当たり前です。

 

まずは、現場の業務量が適切かどうかを見直しましょう

 

 特に、主任や管理者は「現場を知る」ことが大切です。

自分の肉体に鞭を打ち、現場の仕事をこなしていくだけの日々では、何も変化は生まれませんし、成長することもないでしょう。

 

業務量を減らすことだけにこだわらず、今のチームで目の前の課題をこなしていくにはどうすればいいのかを考えましょう。

 

現場で頑張る職員をいかに支えるかが、上司に求められる仕事です。

 

正直、現場職員の細かい不満を取り除くことができていなかったら、大層な理念を立てても共有はされないと思います。

 

 

心理的安全性』とバランスよく責任感を与える

 

 介護現場は、アットホームな雰囲気により、横つながりな関係性が強くなってしまいます。 

 いわゆる、『なあなあ口調』といわれるやつです。

 

そのため、責任感を持ってもらうことも重要です。

最低限でも、我々は命を預かっているという意識を持たせましょう。

 

 

 逆に、ある程度は失敗をしても大丈夫だという雰囲気を保つことも重要です。

 

心理的安全性』という言葉があるのですが、これはGoogleなどの企業でも重要視される組織風土で、周囲に気にしすぎることなく発言や行動をとることができる雰囲気のことを意味します。

 

介護現場こそ、チームでやっている仕事のため、『心理的安全性』の雰囲気を作ることが重要です。

誰かがミスをしたとしても、責め立てたりするのではなく、みんなで解決に向かう姿勢を持つ必要があるでしょう。

 

 

 個人個人に、他人の命を預かっているという重大な責任感を持たせ、かつ、チームで動いているのだから、ある程度の自由な発想や挑戦的な行動に出ることが悪いことではないという雰囲気を作りましょう。

 

すると、最低限やるべきことをやり、先ほど話した業務内容改善のアイデアが生み出されることもあるかもしれません。

 

心理的安全性』『責任感』をバランスよく保ちましょう。とても難しいことなんですけどね。

 

 

職員への待遇

 

 最後の最後で、ネタが尽きた平凡な提案をしますが、職員に当たり前の待遇を与えることを意識しましょう。

 

当たり前の待遇とは、有給休暇の使用仕事に対する公平な評価のことです。

 

時々、外部の介護職員さんと関わることがあってお話する機会があると、「へぇ、あなたの会社は有給を消化するための取り組みがあるんだ」といった悲しい会話が繰り広げられることがあります。

 

介護施設従事者の中には、「有給は使えなくて当たり前」という一種の洗脳思い込みがあるようです。 

 

正直、経営者は何も意識していないことが多いので有給の計画的な使用はシフトを作る主任か管理者の裁量によって決まるところがあると思っています。

 

もし、シフトを作る上で余裕があると感じたら、(貢献度の高い人材から...)有給を与えるなどしていけばいいと思います。

もちろん、有給を使うかどうかなどの最終的な選択は個人で行うものですが、きっかけを作れるのは、主任か管理者の裁量次第です。

 

人手不足で辛い状況なのはわかりますが、職員が受けて当然なはずの待遇を与えることを意識しましょう。

せめて、その姿勢だけでも見せていかないと、現場の職員はよそへと流れていってしまいます。

 

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おわりに ~人間には環境作りが必要

 

 いかがだったでしょうか。

大層な理念を立てる前に、やるべきことない?介護施設の上司になったらやるべきこと3選。という喧嘩を売っているようなテーマでお話させて頂きました。

 

  よく、介護の勉強会などで言われることがあるかと思います。

「利用者にとっては、職員が環境なのである」と。

 

利用者の方の生活を支えるために、職員個人個人が環境になりえていることを意識しようという啓発ですね。

 

これを現場職員に指導するなら、介護施設の上層部は、職員個人個人の環境になりえていることに自覚した方がいいでしょう。

 

「利用者にとっては職員が環境である」のと同じように、「職員にとっては、その上司が環境なのである」ということです。

 

日常生活に困り余裕のない人を支援する介護職員に、余裕がない状態では、質の高い支援はできないでしょう。

 

介護施設の上司は、立派な理念を立てたり職員にやりがいを感じさせる前に、最低限の労働環境を整えなければならないということを強く主張しておきます。

 

閲覧ありがとうございました。