介護学×心理学ブログ

低賃金、人手不足、3K、何かと問題ばかり抱える介護業界。なぜ、介護の分野は成長していかないのか?それは専門性が低いからであり、あったとしても感情的・根性論が多いのが現状。介護の専門性とは何か?どうすれば向上していくのか?介護の本質を知らない、あるいは興味がない経営者に代わって、論理的に解説するブログ。

介護の仕事に、どれだけの誇りを持てるか?

 

 それでは、前回の介護は「誰でもできる仕事」か?に続いて、お話をしていきたいと思います。

 

前回は、「介護は誰でもできる仕事で、賃金は国に依存しているために介護現場での個人の努力は無駄に終わる可能性が高い。そして、高い給料をもらえるほどの質の高いサービスを提供できていない」という、大分尖った発言をしました。

 

 今回は、そんな「誰でもできる」と言われて、賃金的にも底辺な介護の仕事に、どれだけの誇りを持てるか?というテーマでお話していきたいと思います。

 

給料が低い中でも、誇りを持って仕事に取り組めるのはどのような人達なのでしょうか?

 

 【目次】

 

 

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「誰でもできる」を「誰よりもできる」に!

 

 何度も繰り返し申し上げますが、「誰でもできる仕事」かどうかについて、結論としては、誰でもできる仕事であり低賃金も納得の職種です。

 

低賃金と聞くと、「こんな仕事やってられない」「何のために頑張ればいいんだ」という言葉を発する人がいます。

 

それについて、私個人の感覚としては、介護という仕事の見返りをお金にしてしまっているから辛いのです。

 

自分の幸福度を金銭で捉える価値観を否定するつもりはありませんが、そういう人は介護を続けるのは辛いと思います。

 

では、低賃金な中でも介護の仕事にやりがいを持っていける人は、どこで見返りややりがいを感じているのでしょうか?

 

 

介護は、目には見えない力が働く。(文字通りの意味で)

 

 給料が低くてもやりがいを感じて、生き生きと仕事ができる人は、介護の目には見えない力に気づいているからです。

 

もちろん、宗教的な意味合いではありません。(笑)

 

目には見えない力とは、対人関係スキルや相手の(それも意思表示が困難な人の)気持ちを汲み取る共感能力など、視覚には映らないようなことを意味しています。

 

介護の仕事を始めて、コミュニケーション力が向上したという人もいるのではないでしょうか?

また、人の死に直面することで、人生における自分の死生観や価値観を見直すきっかけができたという人もいるかと思います。

 

そうやって、やりがい搾取ではなく自分の中でやりがいを見出すことができている人は、低賃金に対する愚痴を言うよりも、その収入の中でどう生きるかという知恵を引き出そうとします。

 

 

 では、その目には見えない力が身に付くという見返りを元に、「誰でもできる」を「誰よりもできる」に変えていけるように、介護士に求められる能力と努力は何かを考えてみましょう。

 

 

介護士に求められるものとは?

 

 個人の介護士に求められる能力は一体何なのか?

 

それは、一言で言うと、人としての質だと思います。

 

優しさや思いやりなど平たい言葉を使うのは好きではありませんが、根本的な部分で「お年寄りにもっと良いケアやサービスを提供したい!」という心意気のある人が最も介護士としての能力が向上していくと思います。

 

 

 介護士に求められるのは人としての質だと言いましたが、それだと職員個人で仕事の質にバラつきが生まれてしまいます。

 

実際、職員個人個人の心によってサービスの質を上下させてきたために、低賃金に納得してしまえるほどの専門性の低さが目立つようになってしまっているのです。

表現を変えると、現在の介護現場は、主婦が家庭介護の延長を仕事にしているだけというような印象さえ感じるところがあります。

 

全員の能力や人間性が同じである必要はありませんが、利用者が受けるケアやサービスは一定していなければなりません。

よって、介護現場や業界全体に求めらえるのは、誰が介護者となってもケアの質に変動が生まれないようなシステム化や機械化であると思います。

 

 

意識的な努力をしよう。

 

 対人コミュニケーション、認知症ケア、些細な気遣いまで、介護の仕事では目には見えない力が多く身に付きます。

(もちろん、介助技術も)

 

これらのスキルに対して、どれだけの意識を向けられるかで、その後の成長が関わってきます。

 

経験年数ではなく、どれだけ意識的な努力を費やしてきたかが重要です。

 

 介護現場でベテランの強みやそれを見抜くために必要なのは、どれだけ能力が高いかではなく、どれだけ発言力があるか(言い換えると、どれだけ好き勝手しているか)で判断することが多々あります。

 

目には見えないところで努力していたり優しさを振舞ったりしている職員よりも、自分の言いたい放題言っているお局様の方が目立ち、ベテランのような雰囲気を醸し出しているのはそういうことです。

 

しかも、人生経験が長いというだけで、介護職として能力が上であるという顔をしてきます。

 

そうではありません。

 

経験年数よりもどれだけ意識を向けてきたかで、その人の人としての質が決まります。

 

毎日、記録業務をしているからといって、誰もが達筆になれるでしょうか?または、高速のタイピングができるようになるでしょうか?

ただなんとなく掃除機をかける毎日で、クリーニング屋さんに勝つことができるでしょうか?

車や自転車で通勤している人が、いつの間にか走り屋と呼ばれるほどいかした運転をするようになるでしょうか?

 

 

 介護現場には、システム化が必要だという話をしましたが、それを作るのは、意識的な努力を誰よりも多く費やしてきた人であると思います。

 

低賃金に愚痴ばかりをこぼす人たちと差をつけて、「誰でもできる」から「誰よりもできる」レベルまでのスキルを身につけていきましょう。

 

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まとめ

 

 今回のお話をまとめると、介護は「誰でもできる」から低賃金も当たり前、給料が国に依存しているから個人的な努力は無駄になりやすい、それでも介護の仕事にやりがいを感じて前向きに仕事を続けられる人は能力が向上しやすい、なぜなら、意識的な努力を積み重ねて人としての質(目には見えない能力)が向上していくから。

 

そして、現在の介護現場や業界における問題と真剣に向き合い、解決策となるシステム等を作るのは、そういう人材だと思います。

 

 ハッキリと言いますが、現在の介護現場にいる人材は意識が低すぎます。

 

「介護をやりたい!」という人が少なすぎるという話。⦅人手不足より深刻な問題⦆でも挙げましたが、介護現場に興味がない経営者や家庭も守らなければならない主婦、他に行くとこがなかっただけのモチベーションの低い人材、これらの人材が多数を占めているために、サービスの質はいつまで経っても向上していきません。

 

しかし、幸か不幸か、現在介護業界は人手不足です。

 

つまり、能力の高い人材、もしくはやる気があるだけでも、重宝される時代です。

 

人としての質(目には見えない能力)に意識を向けて努力を積み重ね、質の高い介護サービスを提供できる仕組みを作る側になりましょう。

 

 

 最後に余談をはさみますが、介護の仕事で得られる対人関係スキルや共感能力は、実生活で活かせるようなことばかりです。

 

相手の感情を汲み取り、適切な気遣いができる人になれれば、恋愛や友達関係にも活かせるのではないでしょうか?

 

ただなんとなく仕事をするか愚痴をこぼすくらいなら、さっさと違う道を進むか毎日の仕事に意識を向けてみると良いと思います。

 

環境が変わってくれることを望み待ち続けるより、自分で選択して誇りを持った人生を歩む方がよっぽど有意義です。

 

介護は「誰でもできる仕事」かもしれませんが、「誰よりもあなた」に介護してもらいたいと思われるような人としての質を手に入れることができたら、どこにいっても嫌われることはないかと思います。(笑)

 

介護の仕事には様々な問題点がありますが、介護すること自体にネガティブな印象を持つのはやめにしましょう。

 

閲覧ありがとうございました。